再生医療コラムへ、ようこそ。再生医療科の八島明弘です。今回のコラムでは、最近問い合わせが多い「NHKクローズアップ現代 インプラントトラブル急増」について取り上げたいと思います。
この報道の概要は、NHKクローズアップ現代という番組で、インプラントトラブルが急増しているとことでありました。この報道直後から当院インプラント治療予定患者さんから問い合わせが、相次であるのが現状です。この報道によってインプラントに対する一方的な誤解を招いているという現状があります。インプラント治療は危険な場合もありますが、きちっとした術式、診断能力、コミュニケーション能力を持ち合わせていれば、本来安全な治療であり、そのことをお知らせする必要があると感じました。
当院でも日常インプラント治療は行われています。実際その中で、まれではありますが、現在わかっている論文報告をもとに正しく診断し、治療計画を立案して施術に挑んだとしても、インプラントが治療後に骨と結合(オッセオインテグレーション)することができず、残念ながら除去に至るといったことがありました。この事象を論文で調べてみますと過去の論文からも2〜3%程度ではありますが、インプラントと骨の結合が得られないことがあるとの報告があります。100本インプラントを埋入下とすると少なくとも2〜3本のインプラントは失敗するということがいえます。
インプラントにはトラブルが起こらないとはいえません。従ってこれらの事象に対し、的確に対応していくことが大切ということになります。その対応としましては、先ずは患者さんにインプラント治療に関する正確な情報(成功率、利点欠点など)を説明し理解していただくことが大切です。その上で手術や咬み合わせ治療における確かな技術、確かなインプラント製品(人工歯根、冠等)が必要と思われます。
当院ではインプラント初診の患者さんに対して1時間以上時間をかけてインプラントに関して説明を行っています。初診がインプラント治療でもっとも大切な過程といえます。インプラント治療は手術という侵襲が伴い、保険がきかないことから高額な治療であります。また顎骨に対する処置ですので、解剖学的にも神経や血管が複雑に走行しており時には難易度の高い治療となります。決して簡単に始めることではありません。良いことだけではなく、欠点(リスク、費用など)こそ十分に説明することが必要です。その上で患者さんにインプラント治療を選択していただくことが大切です。また、確かなインプラント製品を選ぶことも重要です。当院で使用していますインプラント(ノーベルバイオケアー社、アストラテック社)は臨床応用45年の実績を持つ、世界でもっとも長く使われているインプラント製品です。論文報告数が豊富で発売当初からのコンセプトがそのまま活かされており長期間(45年前からの)のフォローアップが可能となっています。これらの特徴は、長くインプラントを使っていく為に大変大切なことなのです。途中で部品の供給が途絶えれば、最悪の場合はインプラントで咬むことができなくなってしまう場合があります。また、ノーベルバイオケアー社、アストラテック社のインプラントは、名古屋大学医学部附属病院をはじめ名古屋市立大学医学部附属病院など名古屋市内の高度医療を提供できる大学病院でも使われており、大学とのインプラント医療連携が可能です。こうした製品の選択も一つの選択理由となります。
また、インプラント製品に10年保障がついており、その間に骨との結合が失われるようなことが起こった場合は、抜けたインプラント体はメーカーに返却し、再度メーカーより無償でインプラントが供給される仕組みになっています。
NHKのクローズアップ現代がインプラント歯科界警鐘をならしたことは次ようようなことなのではと思います。患者本位のインプラント治療の為に歯科医師は、インプラント治療に十分な研修を受けたか?起こりうる万が一のトラブルに的確な対応がと取れるか?患者さんとのコミュニケーションを十分に取ることができるか?などだと思います。
我々スタッフは、この報道を真摯に受け止め、患者さんに安心してインプラント治療を受けていただけるように日々研鑽し、患者さん目線で、患者さんと一緒にインプラント治療を考え、実践していきたいと思います。
今後とも宜しくお願いいたします。
再生医療科歯科口腔外科医長
八島明弘